竹中平蔵氏の語る「アベノミクスの中間総括」に対する高野孟氏の論評
アベノミクスは本当のところどうなんでしょうか?
選挙前で自民党の公式発表では下の図に示したように日本経済は良くなっているという様な内容でしたが、皆さんは日本の景気は実際に良くなっていると感じていますか?
ジャーナリストの高野孟氏はアベノミクスを次のように見ています。皆様にもぜひ検証してほしいと思います。
【日刊ゲンダイDIGITAL 、永田町の裏を読む
竹中平蔵が寄稿した アベノミクス「中間総括」の笑止千万2017年12月21日より一部抜粋】
彼(竹中平蔵)がこの5年間に「明らかに経済は目覚ましく改善した」証拠として持ち出しているのは、
株価(8000円台から2万2000円へ)
有効求人倍率(0.9から1.55へ)
失業率(4%から2.8%へ)
外国人観光客数(800万人から2400万人へ)
などである。経済パフォーマンスを語るならまず真っ先に挙げるべきは実質GDP・賃金・消費などの基本指標であるはずだが、それには一切触れない
株価は、日銀も年金ファンドも出動させて何が何でもこのレベルを維持させようとする官邸主導の官製相場がつくり出しているもので、市場の日本経済評価とは無関係である。
失業率や有効求人倍率は人口減少社会では当たり前の人手不足傾向の表れであって、アベノミクスの効果ではない。ましてや外国人観光客の増加は、そもそもアベノミクスの達成目標には入っていないし、仮に入っていたとしても日銀の金融政策とは何の関係もない。
アベノミクスはそもそも、異次元金融緩和によってマネーをジャブジャブにすればすぐにでも物価上昇2%の目標が達成され、それにつられて全てが好循環に向かうという理屈に基づいていた。13年3月に138兆円だったマネタリーベースは17年11月までに338兆円も増えて476兆円の史上最高を更新しつつあるが、さて物価上昇2%目標はこれまでに6回延期されて、まだ実現していない。 なぜかというと、各銀行が日銀に置いている当座預金は、同じ期間に47兆円から319兆円増えて366兆円の史上最高に達していて、つまりマネタリーベースの増大分の95%は日銀当座預金に滞留して日銀構内から外へ出ていないのである。